3月の半ばから後半にかけてカリブの島国キューバで国際音楽祭へ参加してきた事を忘れないうちに書き留めます。
3/19(日)、トローバ国際音楽祭と名付けられたイベントの2017年の最終日がやってきました。
この日は、トローバというキューバ音楽で欠かせない大切な音楽ジャンル史上初の作品をつくった「トローバの父」と呼ばれるぺぺ・サンチェスさんの誕生日です。
彼の誕生日にちなんでトロバドール(トローバを演奏する人)の日と呼ばれます。
同時に、ぺぺさんの日、とも。
そして、この日はいつもいにしえの偉人達のお墓参りを音楽祭関係者皆でするセレモニーがあります。
3/20付けの「フィデルさんのお墓参り」という日記で記したように、今は世界中から観光客が故フィデル・カストロ本国家評議会議長のお墓を訪れるシーズン。
たくさんの方々が長い列を作る中、音楽祭関係者はキューバ革命を支えた革命思想家ホセ・マルティさんのお墓を訪れた後に各演奏家の墓石を周ります。
すぐ近くにあるフィデルさんのお墓がいかに簡素なものか分かります。
ホセ・マルティさんの銅像は自らの墓石を見下ろすように据えられています。
炎天下ですが、日傘をさす方は極々少数でお墓参りは続くのでした。
先程書いた「ぺぺさんの日」にちなみ、サンティアゴ出身の作曲家・ギターリストであるぺぺ・バンデーラさんのお墓には実のお孫さんが歌を捧げます。
素晴らしい歌声が墓地に響きます。
次は、フランシスコ・レピラドさん、別名コンパイ・セグンドさん。
ラテン・グラミーを受賞したサンティアゴを代表するソン・ユニット「セプテート・サンティアゲーロ」リーダー、フェルナンドさんほか、超多忙の演奏家達も参列し墓石にバラを捧げます。
その場の皆さんと共に、僕も彼の代表作「チャン・チャン」を墓標に向けて歌う役割を果たす事ができました。
ムーチョさんがツアー皆さんを見ていて下さる分、二人分、いいえ皆さんの分も一緒に気持ちを込めて歌わせて頂きました。
彼の音楽のお蔭で、世界中の人とつながることが出来ます。
僕は別の年にハバナのホテル・ナシオナル内にある1930という年号が名前になっているサロン・ホールでグルーポ・コンパイ・セグンドとディナー・コンサートを共演させて頂いた経験があります。
コンパイさんがご逝去後、息子さんお二人の入って続けられているグループです。
この写真だけ、ハバナのホテル・ナシオナルで撮ったエントランス写真です。
この時のことは、メンバーも覚えていて下さって今でも懐かしく会うと話をします。
有難い。本当にありがたいご縁です。
当フェスティバルの名前になっている作曲家ぺぺ・サンチェスさんのお墓の前で、ご遺族と音楽評論家リノ・ベタンクール氏。
彼のタフネスには本当に頭が下がります。
暑い中ご苦労さまです、と話しかけたところ、暑さ?暑さなんて感じるかい?!と勢いよく返されました。
命がけでキューバ音楽を守るイベントに参加される彼の姿勢を目の当たりにし、敬虔な気持ちにさせられました。
ベニート・アントニオ・フェルナンデス・オルティス氏、別名ニコ・サキートさんのお墓も。
前述のリノさんが、各演奏家にまつわるエピソードを墓石ごとに話して下さいます。
音楽の歴史を人が紡いでいく様子を肌で感じる厳かな、そして関われる事に言葉にはできない幸せを感じる行事です。
この日の夜には、とうとう閉会式コンサートへ。(つづく)